人類は皆愚か
日本人は外国の「良いところ」だけを見て憧れ、自国と比べてしまう習性があるようです。
それを示すかのように 某SNSでは「日本人はこんな所がダメ!〇〇という国を見習うべき!その国ではこんなことが行われていてすごい!」といった内容のものがバズりがちです。
今回は「いい所」だけをみて、憧れを抱き 意見を主張してしまう人間について語りたいと思います。
動物愛護の話になります。
皆様は 日本で年間どれほどの犬猫が殺処分されているのかご存知でしょうか。
環境省の犬・ 猫の引取り及び負傷動物の収容状況(平成29年度版)によると、1年で43,216頭が殺処分されております。調べて頂くとわかりますが、年々減っていっています。平成16年度には394,799頭でした。
殺処分の話になると 必ず出てくる比較対象が「ドイツ」です。
なぜならドイツには「ティアハイム」と呼ばれる動物保護施設があります。(ティアハイムは組織名ではなく、動物保護施設全般を指すものです)
ティアハイムの何がすごいかと言うと、これがあることにより日本人に「ドイツは犬猫の殺処分を行っていません」と思い込ませているところです。(勝手に我々が勘違いしているだけですが。)
また、何故か「ドイツには生体販売をするペットショップはない」と思い込ませることもしています。
ドイツには約4100店ほど生体販売をしているペットショップがあるにも関わらずです。
ティアハイムという言葉だけを知っている人間は皆こう言います。
「ドイツは犬猫の殺処分がゼロである。なぜなら殺処分をしない為の施設、ティアハイムがあるから。」
ティアハイムでも 収容場所がない場合、深刻な傷病を受けている場合、行動障害を示す場合、攻撃的な危険な犬の場合 安楽死という名の殺処分が行われています。
そしてドイツに憧れを持つ日本人の無知と誤った知識の愚かさが次でわかると思います。
まずドイツ連邦狩猟法は、狩猟動物を保護する目的で野良犬・猫の駆除を認めており、狩猟者は、合法的に野良犬・猫を殺すことができます。
ティアハイムでの殺処分と目的は異なりますが、ティアハイムで保護される対象であるはずの野良犬・猫が駆除の対象となっており犬猫殺処分と無関係であるとは言えません。
ドイツ全体の駆除頭数を示す公的統計は存在しませんがが、年間猫 40 万頭、犬6万5千頭に達すると指摘する動物保護団体もあります。
「殺処分はゼロ」という言葉の仕組みがわかりますね。
また、ティアハイムが出来たことにより 犬を捨てる時にティアハイムの前に放棄する飼い主もいるそうです。犬を捨てる理由には様々あるみたいです。2-3週間の長期休暇に旅行に行くために捨てる人もいるそうです。
ペット先進国でもそんな無責任な人間はいます。
日本でペットショップを批判する人は、流通過程で死んでしまう子犬やパピーミル、繁殖犬のことについて、ショップでずっと展示販売されている現状、衝動買いをして無責任な飼い主を増やすことを懸念して批判するのだと思います。
なので、日本人がドイツに憧れている内容が実はおかしいということがわかると思います。
悪いとこにばかり目を向けていないで、いい所にも目を向けていきたいです。ドイツにティアハイムがあるように、日本でも保健所から殺処分近い犬猫を引き取り里親を探している団体があります。殺処分される予定だった犬猫の引取りは平成29年度版ですが、100,648頭と 殺処分より多い数になっております。
どこの国に行っても 愚かな人間は愚かだし 頑張っている人は頑張っています。
動物に関する法律や規定などは確かにドイツの方が整っています。整っているおかげで、犬猫を狭いスペースで展示されるなんてこともありません。
その点で見習う というのはわかります。
しかしドイツの動物愛護を見習いたいと言っている人は ドイツは殺処分ゼロで、ドイツ人全体が動物愛護の精神を持っていると思っているのではないでしょうか。
薄っぺらい知識で意見を主張することは恥ずかしいのでやめたいです。
なんだか人間はとても愚かですね。